竣工:2020年
掲載:Replan北海道 Vol.132
撮影:古瀬 桂
設計:合同会社 永田大建築設計事務所
施工:株式会社 若原建築工業
2018年7月 長年良いお付き合いをさせていただいているクライアント様のご紹介で顔合わせをしました。様々お話を伺い、早速、敷地を見に行きました。その土地が、とにかく凄い場所でした。
山の上に住みたい。
M様は、この夢を実現するため、山の所有者を探しはじめました。山は、なぜか細かく分筆されていました。昭和〜平成に元号が変わる時、日本はバブル絶頂期でした。このバブルの時に、原野商法で切り売りされた土地だと思われます。M様は一つ一つの土地所有者を探す行動を、地道に続けられました。購入した土地の数は、30近く・・すごい数です。山の上の土地を購入できても、そこまで行く道となる土地がなければ家を建てる事はできません。最後に購入した土地が、道路となる部分でした。
初めてご自宅へ伺った時、“いつか家をつくる時のために”と収集していたアンティーク品をご紹介頂きました。数々のこだわりの物達。一つ一つに思い入れがあり、それぞれの出会いと思い出のお話を沢山うかがいました。
これらに合う建築。
これが一番のご希望でした。建築を作る前から、使用する照明、タオル掛け、ベル、ダイニングテーブル、椅子、スイッチプレート、家具は決まっていました。古い雰囲気のものにあう内装イメージを膨らませていきました。間取りが決まり、取り付け場所を一つ一つ決めていく打ち合せは細部まで検討を繰り返しました。そして、実際に取り付けをする時は、全て立ち会って頂きなかがら、取り付け場所のバランスを調整しました。https://www.masarunagata.jp/bl...
<その他ご要望>
・薄暗い家
・内部と外部の土間続きリビングスペース
・地下のスケボーボウルスペース
・プロジェクタースペース
・本達の居場所
・隠れ家の様な書斎
・お風呂には大谷石を使用
・調理できる薪ストーブ
アンティークな物達を主役にする家づくりに、ボウルスペースの存在感をおさえつつ、永田大建築設計事務所が常に意識する、家族のつながりを感じられる空間づくりを模索していきました。建築計画は、お客様の具体的ご要望の一つ「屋外土間と内部土間の連続」から派生していきました。内部土間に置くアンティークな物達のサイズと空間バランスを調整し、それにつながる各空間。永田大建築設計事務所が常に意識する建築計画は、家の奥に入れば入るほどワクワクする空間づくり。ご要望と永田大建築設計事務所の作る家のバランス調整を繰り返し建築計画をまとめていきました。土間スペースを通り過ぎると、大きなブックコーナーがあります。高い場所の本をとる時に使用する木製脚立、天井からぶら下がる分銅型ペンダント照明、屋外の垂直方向にのびる樹木達。その存在が本棚コーナーの空間デザインを決めています。さらに奥に行くと、半地下のボウルとそれを利用するの子供達のボウル上に設けた子供部屋。子供部屋の廊下から登り綱、ボルダリングでボウルに降りる事ができるアクティビィティーゾーン。家に入った瞬間の洗練されたアンティークアート空間からは想像できない、ブックコーナーとアクティビィティー空間。外観デザインは、屋外土間を中心にシンプルな軒の深い外観としました。
永田大建築設計事務所の家造りは、お客様のライフスタイル、趣味、ご要望、ご予算を丁寧にヒアリングし、敷地の特性とヒアリング情報を元に建築士として私の感性のフィルターを通し、初回建築計画を数案ご提案します。ご提案した建築計画に対する率直なご意見をヒアリングをします。そして、再考し、最善のデザインをご提案します。この工程を繰り返し実施していきます。
お客様が話しやすい雰囲気を作り、率直なご意見を引き出せる様に配慮し、頂いた内容から専門家としてバランスをとり提案を繰り返します。専門家としてバランスを取るとは?お客様の言う通り作る事ではなく、デザインバランス、コストバランスをしっかりと整えながら建築計画をまとめていきます。共感の集合とは、多くのコミュニケーションを丁寧に繰り返し、そのコミュニケーションの集合と永田大建築設計事務所の感性の融合が、個性豊かな唯一無二の家づくりに昇華していきます。